敵は味方の中に。(献血の宇崎ちゃんポスター問題について)

(10/21追記) 宇崎ちゃんは遊びたい!の献血ポスター問題について、続きの記事を書きましたので、良ければご覧ください!

fukamefukame.hatenablog.jp

 

 

 

献血PRに「胸強調」女性キャラで疑問の声も 日赤「セクハラという認識は持っておりません」 : J-CASTニュース

 

先日からTwitterを騒がせている、太田啓子弁護士が献血ポスターに使われている二次元イラストを、「環境型セクハラだ」と批判した件。(当該ツイートは削除されております)

肯定派、否定派の意見を斜め読みしてみた結果、すれ違っている原因のようなものと、フェミニストとは?という部分が見えてきたような気がしたので、備忘録として残していこうと思う。

 

まず、それぞれの主張。

 

肯定派

・露出も無く、ただ乳がデカいだけのイラストのどこがセクハラだ。その発想こそ胸の大きな女性に対してセクハラだ。

・そもそもアニメを見ない人は、この広告のターゲットではない。

フェミニストが自己のコンプレックスを投影して騒いでいる。

・2次元と3次元の区別がついていない。

・どうせ騒いでいる奴は献血に行かないから、そんな奴の意見を聞く必要はない。

 

否定派

・肯定派は「男性向けに作られた性的コンテンツ」と「性的な目的ではなく、別の目的で作られたコンテンツ」の区別がついていない。

・女性という存在が男性向けの性的コンテンツとして消費されている。

・こんなに胸の大きな女性は公共の場に不適切だ。環境型セクハラだ。

・純粋に見ていて不快。キモい。

・2次元と3次元の区別がついていないのはお前らの方だ。

・こんなの見て献血に来たオタクの血なんかいらない。

 

 

ざっと見たところ、こんな感じ。

互いの価値観がぶつかり合いまくっている。

 

そんな中ひと際、興味深いやり取りがあった。

 

 「石川優実」さんの一連のツイート。

 

そして、「さすが多摩湖ナルコレプシー」さんの一連のツイート。

 

 さらに、多摩湖さんに対しての石川さんの一連のツイート

(このやりとりが非常に秀逸で勉強になるので是非ご覧ください。)

 

このお二人のやり取りで、石川さんのようなフェミニストと呼ばれる方々が何を守ろうとしていたのか、何故同じフェミニスト多摩湖さんと、意見の軸が異なっているように見えるのか。そして、それが何故世間に伝わらないのかが、垣間見えた気がした。

 

少し話は逸れるが私は最初石川さんを見た時、献血ポスターへセクハラだと言っていながら、ツイッターに下着姿を晒しているのを見つけて

「人にセクハラ訴えておきながら自分は下着姿を晒してるとかフェミニストって頭沸いてんだな」と思っていた。w

 

でも、石川さんの訴えを読み進めていくと、まさに上記の行動が訴えの内容を表している事に気付いた。

それは、「私は私の意思で下着姿を晒していて、男性向けに性的コンテンツを提供しているわけではない」という事。

そして、セットで訴えていることが「別に性的な目で見てくることはなんの問題もないが、いちいち『貴方は性的なコンテンツです』と勝手にジャッジし、報告してくるな」ということ。

後段の「『貴方は性的なコンテンツです』と勝手にジャッジし、報告してくる事」がセクハラの部分であり、「女性の身体的特徴をコンテンツとして切り売りするな」では無かった。

もう少し踏み込むと、「他人を無意識の内に性的コンテンツとしてカテゴライズし、消耗していく人」たちを批判していた。

なるほど、と関心してしまった。 

 

 

多摩湖さんの意見は、そもそも「胸を強調したキャラクターは男性向けのコンテンツでありセクハラ」という認識自体が女性に対しての差別だとしている。

分かりやすく言葉の形を変えると、「胸の大きい女性は男性を誘惑している」となり、その認知が無意識に上記のセクハラ認定の中に隠れていて、自分自身で気付いていない事を問題としている。

 

 

 

あれ、この二人、同じ事言ってない?

 

 

  

 

ここに気付くまで、気付くまで非常に時間がかかった。

本当に。マジで頭使った。

 

なぜこんなに時間がかかったのか。ここが一番の問題だった。

それは、オタク、フェミニスト双方で無自覚に差別意識むき出しの批難が飛び交っていたから。これは本当にノイズだった。

 

 冒頭に提示した肯定派、否定派の意見をもう一度上げてみる。

 

肯定派

・露出も無く、ただ乳がデカいだけのイラストのどこがセクハラだ。その発想こそ胸の大きな女性に対してセクハラだ。

・そもそもアニメを見ない人は、この広告のターゲットではない。

フェミニストが自己のコンプレックスを投影してギャーギャー騒いでいる。

・2次元と3次元の区別がついていない。

・どうせ騒いでいる奴は献血に行かないから、そんな奴の意見を聞く必要はない。

 

否定派

・肯定派は「男性向けに作られた性的コンテンツ」と「性的な目的ではなく、別の目的で作られたコンテンツ」の区別がついていない。

・女性という存在が男性向けの性的コンテンツとして消費されている。

・こんなに胸の大きな女性は公共の場に不適切だ。環境型セクハラだ。

・純粋に見ていて不快。キモい。

・2次元と3次元の区別がついていないのはお前らの方だ。

・こんなの見て献血に来たオタクの血なんかいらない。

 

赤い文字の意見は、相手への感情的な敵意、無自覚な差別だ。

売り言葉に買い言葉、ってやつだ。

敵意というものは非常にパワーがあり、一気に人々の間で伝染していくし、言葉のベクトルが分かりやすい。この敵意にフェミニストの皮を被せて、あるいはオタクの皮を被せて発信している人が、双方の理解を阻害する非常に強いノイズになっていると感じた。

お互い、その皮に騙されて、個人個人の中にある敵意と戦っているのだ。これはしんどいし、解決するわけがない。

 

私も肯定派の感情論に流されそうになった。石川さんも、きっと太田啓子弁護士と同類なんだろうな、と一瞬思ってしまった。

そして、肯定派の感情論に流されそうになった自分に気付くのに、相当な時間がかかった。

誰だって、この強い言葉に流されそうになる。私だって気付かない内に何度も流されては理解できないまま相手を非難している事もあると思う。

 

 

 

twitterが普及してから怒りというものは娯楽化していて、私を含め大半の人はこの怒りを一時の娯楽として無意識化に消費している。

娯楽でしかないので、表面的でキャッチーな事象を適当に感情論で叩いて、自分の中の怒りが満足したら次の騒動へ流れていく。

娯楽なので、暇なときにしかしない。相手の本当の真意や根っこにある問題まで掘り下げる時間なんかないから、本質をきちんと理解出来る人なんて殆どいない。

でもそれが悪いとは決して思えない。だって人の時間は有限だから。

 

でも、その怒りのエネルギーにたいして、自覚しておかねばな、とは思う 

 

 

 

このブログの件名にも付けたが、物事の本質を見極める為にまず行わなければならないのは、

双方の中にいる、オタク、フェミニストの皮を被った繊細ヤクザを排除する事なのではないかと強く思った。

本当はフェミニストの方こそ、太田啓子弁護士に対して「それは繊細ヤクザでは」と訴える必要があった

 

 

ここから先は仮定の話である。

もし太田弁護士が本屋さんで石川さんのグラビア広告のポスターを見た場合、

きっとそれを環境型セクハラだと認識していたのではないか。

石川さんに性的コンテンツを提供している意志が無かったとしても。

その構図って結局、男性が勝手に石川さんの事を性的コンテンツとして認知しているのと同じなのではないかな。

女性だって、「女性は男性の為に露出しているのだ」と思いこみ、その思い込みによって女性にセクハラするのである。

 

 

 

本当の敵は目の前の人間ではなく、横や後ろの味方の中に居るかもしれない。

 

 

 

 PS.

 

そんな難しい問題、今すぐ解決するのは無理なので、

まず今すぐできる事をしよう。それは献血

献血行ってから議論しても遅くない。

数百ccの血液に敵も味方も関係ない。

誰かの救いになるのなら、まず献血しよう。

 

身体的なアレで行けない人も気にすることない。

行ける人が行けばいい。そう思いました。

 

あ、あと宇崎ちゃんは遊びたい!の作者の丈先生にも謝ろうね。

書いた人もコンテンツも悪くないよ。創作物に罪はない。

 

乱暴に締めたね、そろそろ仕事しなきゃ。ごめんね。

終わり。